在宅時間の増加に伴って活況を呈し始めた新興株式市場

いったい、新興株市場に何が起きたのでしょうか?

もうお分かりかと察しますが、4月7日に政府が緊急事態宣言を発令し、16日からは全都道府県へ拡大となりました。街中から人通りがなくなり、多くの人が在宅を余儀なくされたわけです。その後、緊急事態宣言は解除されましたが、テレワークの定着などで、在宅時間が増加したままになっているのはご承知の通りです。

つまり、新興株式市場の近年まれに見る活況は、(個人投資家の)在宅時間の増加に伴う「副産物」以外の理由を見出すことができません。その証拠と言っていいかどうかわかりませんが、個人投資家の参加割合が相対的に小さい大型株式市場は、4月上旬以降も売買代金が目立って増えることはなく、むしろ、徐々に減っています。

こうしたことから、在宅時間が増加したことで、比較的少額から着手できる新興市場の株式投資を新たに始めた人が増加したと考えて間違いないと思われます。新興市場だけが対象ではないかもしれませんが、ネット証券大手である楽天証券の3月の新規口座開設が過去最多を記録したというニュースもありました。

新たに株式投資を始めた人の中には、ある種の時間潰しの人もいたでしょうし、当然、インターネットで手軽に売買できるようになっていることも大きな要素です。さらに、特別給付金(10万円)の受給も追い風になったと推察されます。

宝くじ販売にも新興株式市場と同じことが起きる?

この新興株式市場で起きたことと同じような事象が、宝くじで起きても不思議ではないと考えられます。もちろん、新興市場とはいえ、株式投資と“運頼み”の宝くじ購入を単純に同一視することはできませんが、時間的にも、購入手法(ネット販売)も、そして金銭的にも(特別給付金10万円等)、宝くじの購入を検討する人が増加する環境にあると思われます。

残念ながら、在宅時間の増加が2019年度(2019年4月~2020年3月)の販売に与える影響は限定的になりそうですが、2020年度(2020年4月~2021年3月)には大きな押し上げ要因になっている可能性があります。引き続き、今後発表される販売実績に注目したいと考えます。

葛西 裕一