それでもポイントを貯めてしまう心理とは?

そうはいっても、やはりポイントを貯めている方は多いと思います。実は、私たちがポイントを貯めてしまうのには、行動経済学に基づく理由があるのです。

その理由とは、先述の「ポイントの有効期限」のお話でも登場した、「保有効果」に関係しています。そもそも保有効果とは「自分の所有しているものの価値を、所有していなかった時よりも高く感じてしまい、手放し難いと感じること」です。

2017年のノーベル経済学賞受賞者、米シカゴ大学リチャード・H・セイラー教授が行った実験があります。(※)

この実験では、参加した人の半数にマグカップを渡して、その人たちに「売ってもいい値段」を尋ねました。一方で、残り半数のマグカップをもらっていない人たちには、マグカップを「買ってもいい値段」を質問します。

その結果、売ってもいい値段(約600円)は、買ってもいい値段(約300円)の2倍の値段になっていたのです。つまり、人は自分の持っているものに愛着が湧き、他人が思っている以上に高い価値を感じてしまう傾向がみられました。

私たちの「ポイントを貯める」という行為においても、この保有効果が働いているといえます。貯めたポイントに愛着や安心感が湧き、それを手放す(=所有ポイントが減る)ことに知らぬ間に抵抗を感じるようになるのです。そして、さらにポイントを貯めてしまう、とも考えられるでしょう。