貿易収支とサービス収支は性格が似ているので、貿易・サービス収支として取り扱われることもあります。日本人が外国人のために自動車や料理を作る労働をし、外国人が良い思いをして代金を支払うのが日本の財やサービスの輸出、輸入はその反対だからです。
日本の経常収支は、巨額の黒字を続けています。貿易収支もサービス収支も第二次所得収支も概ねゼロ近辺なのですが、第一次所得収支が巨額の黒字となっているからです。
経常収支が黒字なら、日本国の対外資産が増える
経常収支は、日本国の家計簿と言って良いでしょう。家計簿が黒字ならば家計の財産が増えますが、経常収支が黒字ならば日本国の財産が増えるからです。財産が増えずに借金が減る場合もありますので、正確には「純資産」が増えるわけですが。
たとえば貿易収支が黒字だと、輸出企業が海外から輸出代金のドルを持ち帰ります。そのドルを銀行に売りに行くわけですが、それを買うのは主に日本人投資家です。日本の輸出企業からドルを買うためには日本円を持っている必要があるからです。
つまり、貿易黒字だと誰かがドルを買い、それを海外に投資するので、日本全体としては海外に持っている国債や株や工場などの財産が増える、というわけですね。
そうして過去に投資された財産が利子や配当等を生み、それが現在の経常収支黒字となり、その黒字分が再度株式等に投資されてさらに大きな経常収支黒字を将来もたらす、ということが起きているわけです。