夫とお互いに子ども時代の思い出話をするとき、家族旅行や成長の節目の行事などをごく普通に経験している夫の話には違和感を感じていました。「これも経済的な理由」と思っていましたが、子育てを通じて筆者の幼少期の環境が問題を抱えていたことを次第に自覚していったのです。
子どもたちが言葉を話せるようになると、3人とも「ママ好き」と言って必ず甘えてきました。もちろん、「パパ好き」と何度も言うことにも衝撃を受け、自分の幼少期を改めて振り返りましたが、どうしても「お母さんお父さん好き」と言った記憶に辿りつけないのです。
1、2回は口にしたかもしれませんが、両親に対して非常に冷めた感情を持っていることに初めて気がつきました。我が子の裏表のないストレートな感情表現に最初は戸惑う自分が嫌になる時もありました。徐々に無邪気に親を信頼するのは当たり前のことだということを理解し、それと同時に子どもたちが健やかに育っていると分かり安堵したのです。
毒親は自覚なく子どもを追い詰めている
毒親は自分本位で、言動によって周囲の人、特に子どもを追い詰め傷つけていることに気がついていません。子どもを身近にあるサウンドバックのように扱い、後先考えずに不平不満を言ったりします。子どもを全否定する言動の罪深さも自覚できないのです。
筆者もそうですが、当事者は「他の家とは違う」と気づくには時間がかかります。小さい頃は家庭が世界の全てです。逃げ場のない中、言動によって子どもの心に癒えることのない大きな傷口を作ることもある。親はそう肝に銘じて子育てをしていきたいですね。
中山 まち子