先取り貯金をさせてみる

さて、おこづかい帳を付けられるようになったら、少しレベルアップさせて、先取り貯金をやってみましょう。たとえば、3,000円するおもちゃを買う目標を立てた場合、3カ月分のおこづかいを貯めなければなりません。

その間、他のすべてのものを我慢して、最短で達成させる方法もいいのですが、うまくいかない場合も多いでしょう。そこで、1,000円のおこづかいをもらったら、最初に半分の500円を取って、その3,000円のおもちゃのために貯金をして、残りの500円をいつもどおりのおこづかいにすれば、達成までに6カ月はかかるけれども、無理せずに続けることができます。

先取り貯金分は親が責任を持って預かるというのもいいですね。先月の頑張りによって、残ったお金が多くなったら、今月は全額を先取り貯金に回して、期間を短縮させることもできます。先取り貯金にまわしたものには絶対手を付けないというルールが守れれば、あとは子どもにすべて任せましょう。

晴れて3,000円が貯まって、その欲しかったおもちゃを手にした時の達成感は、他に代えがたい成功体験となります。

結果を引き受けさせる

買い物の失敗は大人でもよくあること、子どもならなおさらです。しかし、買ったものが失敗したからといって、代わりのものをすぐに買ってあげることはやめましょう。それよりも、買う前に一緒になって検討してあげることが大事です。

「本当に欲しいものか」「これよりあれの方がいいと思う」など、経験値からのアドバイスをしてもいいでしょう。ただし、最終決定は子どもにさせて、その結果を引き受けさせます。買い物に失敗して、おこづかいが減ったことを悔やむ経験をすれば、次に買う時は慎重になります。

可哀そうだからといって、この失敗して悔やむ機会を奪ってしまうとお金を大事にしなくなってしまうのはもとより、ものを選び取る能力が育たなくなります。子どもの頃の失敗の経験は、大人になってからの大きな失敗を防いでくれます。

最後に

子どものうちからしっかりとした金銭感覚を身に付けさせるためには、まずは大人がいい見本を見せてあげることでしょう。普段の買い物に子どもを連れていき、一緒に見てまわることで物価について学ぶことができます。

また、おこづかいをあげられるのは、「親が働いてお金を得ているから」ということを知ってもらうために、どんな仕事をしているのかを子どもに話して聞かせることも大事です。親の職場見学などができるといいですね。こんな仕事をするとこのくらい給料がもらえるという話をしていけば、子どもの職業選択にもつながっていきます。ただし、親の守備範囲の話だけになりがちなので、親戚のおじさん、おばさんの職業の話をしたり、本やテレビ、ネットなども活用して、多くの選択肢が提示できるといいでしょう。

働くことでお金を得て、お金を消費することで、私たちの暮らしが成り立っていることを、子どものうちから小さな体験の積み重ねによって学ぶことができれば、しっかりした金銭感覚を身に付けることができるでしょう。

参考

「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)」知るぽると
「お金のしつけ ─ 家庭・子ども」知るぽると

石倉 博子