コロナ禍の副作用かどうかは知りませんが、最近「ジョブ型雇用」なる言葉が喧伝されています。
はっきりした定義が浸透しているわけではありませんが、どうやらジョブ型雇用は、その仕事内容に応じて給料を払うという考え方を指しているようです。これはこれで当たり前なのですが、加えて仕事内容を明記した職務記述書(英語ではjob description、以下JD)に基づいて給料が決まるとされています。
仕事内容が異なっても年齢や社歴などによって給与水準や労働条件が同じ、という“旧来”の日本的雇用制度である「メンバーシップ型」と対をなす概念ですね。ジョブ型ではたとえ同期入社だとしても、JDによって給料が違う(=差がつく)シビアな雇用体系ということです。
実際はどうなのでしょう。筆者の考えでは、制度的にどちらが優れているかという二者択一で考えるのは難しいと思います。日本企業でも欧米企業でも、ジョブ型にせよメンバーシップ型にせよ、雇用体系だけが会社の業績を左右するものではありません。
筆者は半沢直樹に出てくるようなコテコテのメガバンクに勤務したこともあれば、映画に出てきそうなウォールストリート型外資系金融機関にも勤務したことがあります。その経験からすると、むしろ、ジョブ型だとかメンバーシップ型だとか定義づけすること自体もナンセンスだと思っています。
さはさりながら、多くの場合、グローバル企業はジョブ型雇用制度を採用しています。それがどんな感じで行われているのか、以下、筆者の体験をお伝えしたいと思います。ただし、筆者が勤務したことがあるのは金融機関だけなので、全ての業種がこうなっていると言うつもりは毛頭ありません。そこはご理解ください。