日本企業にジョブ型雇用は根付くのか?
さて、筆者が30年以上前に日本企業に就職した際も、似たような雇用制度が話題になっていました。しかしながら、この何十年、結局は何も変わっていません。転職が当たり前のようになっている業種もないことはありませんが、ほとんどの方はジョブ型雇用になることを歓迎していないでしょう。
それよりも、JDなんかなくて、能力や実績がはっきりと評価されず、同僚同士の給料にあまり差がつかず、気がつけば定年というイメージでキャリアを送りたいと考えている社員が多数派なのではないかと思います。
もし、そうでないならば、既に労働市場は諸外国並みに流動化して転職は当たり前になり、企業はより優秀な社員・経営陣を雇って新陳代謝を図り、日本企業の競争力は上がっているはずです。でも実際はそうはなっていません。
図表1は過去25年間の日本、G7、OECDの国民1人当たり年平均GDP成長率の推移ですが、日本の数値は先進諸国平均値を大きく下回っています。
この数値が表すのは、20年以上におよぶ「失われた」と形容される経済環境で、結果的に日本人ホワイトカラーは守りに入り、他人と差はつくけれどもパフォ-マンスが上がらなければクビになるジョブ型制度を、理解しながらも拒否しているという実態でしょう。
コロナショックで、ジョブ型にしなければという論調を見聞しますが、過去何十年と変わっていないのが我がニッポン。これからもそう簡単には変わらないでしょう。もっとも、デキル人材は時代が変わってもどこにでもいます。そういう人材はジョブ型だろうがメンバーシップ型であろうが、いずれ頭角を現すものなのです。
結局のところ、コロナ禍や雇用制度によって働き方を変えるというよりは、個々の能力がもっと問われる時代になったのだと思います。やる気とガッツがある人材にとって、むしろやりやすい時代になったのかもしれません。