コロナ禍で外食株の明暗を分けるカギとは
ガスト、サイゼリア、吉野家、松屋、すき家、マクドナルドの月次データから
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新型コロナウイルスの感染に伴って人々の外出や店舗の営業が規制される中、外食株の事業環境は悪化している。ただ、月次リリースを見ると各社で影響の度合いは大きく異なるようだ。今回は足元の売上が好調・不調な企業をいくつか紹介したうえで、何が決め手となっているのかも考察する。
コロナ禍でも"牛丼やハンバーガー"底堅い
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って不要不急の外出が抑制される中、外食産業では業績悪化の懸念が高まっている。客数の減少はもちろん、休業や営業時間の短縮に伴う機会ロスも重なり、足元の売上動向は厳しい。新型コロナウイルスの影響が大きくなった3月以降の業績動向を見ていきたい。
ファミリーレストラン「ガスト」などを運営するすかいらーくグループの3月以降の月次業績は、客数が大きく遠のいたことで、既存店売上高は3月が前年比24%減、4月が同58%減、5月が同48%減、6月が31%減と大幅に減った。
同じくファミレスを運営するサイゼリヤも客数の減少により、3月の既存店売上高は同22%減、4月は同61%減、5月は同52%減、6月は同37%減少した。
しかし、月次リリースを広く見てみると、必ずしも外食企業全ての業績が大きく悪化しているわけではないことに気付く。
牛めしの「松屋」を展開する松屋フーズHDの3月の既存店売上高は5%減と、ファミレスチェーンと比較すると減少幅は限定的であった。もっとも、その後同社の月次も悪化している。4月は同22%減、5月は同21%減、6月は同17%減となっており、3月当初は踏ん張っていたもののその後は厳しい状況に陥っているという格好だ。
同じく牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーHDも8%減と、減少こそしたものの、1桁台にとどまる底堅さを見せた。その後も4月は同12%減、5月は同9%減、6月は同9%減と、ファミレスと比べると軽傷ともいえる。
牛丼以外では、日本マクドナルドHDが3月は前年比ほぼ横ばい(0.1%減)、4月が同7%増、5月が15%増となった。6月は一転、同3%減となっているが、他の外食産業の落ち込みと比較すると非常に強い印象だ。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03