この記事の読みどころ
- 7月の日本株式市場は、ポケモノミクス相場の盛り上がりで、終わってみれば堅調に推移しました。
- 金融政策イベントの予定がない8月は、業績相場へのシフトが加速する可能性があります。
- 政策期待相場が終わりつつある中、出遅れ感のある好業績銘柄をコツコツ拾いたいところです。
先月(7月)の株式相場の振り返り
7月は歴史的な急落の余韻を引き継いで始まりましたが、ポケモノミクス相場の盛り上がりにより、終わってみれば堅調に推移した月となりました。ただ、日米の金融政策はやや期待外れとなった模様です。
ポケモノミクス相場の隆興と終焉で盛り上がった7月の株式相場
7月の株式相場は、月中の変動が大きかったものの、総じて堅調に推移しました。
日経平均株価を振り返ると、6月末の株価(終値、15,575円)との比較では、7月末終値は+6.4%上昇となりました。また、7月高値は同+8.7%上昇、7月安値は同▲3.0%下落でした。なお、2015年末と比較した7月終値は▲13.0%下落となっており、6月末よりマイナス幅が縮小しています。
7月が堅調に推移した要因は、ポケモノミクス相場の牽引に尽きます。確かに、7月10日の参議院選挙終了後、政府による景気対策が明らかになったことも一因です。しかし、スマホ向けゲーム「ポケモンGO」の大ヒットにより、任天堂(7974)の株価が爆騰したことがトリガーとなって、株式相場全体に資金流入をもたらしたことが最大要因です。
任天堂は日経平均株価の構成銘柄ではありませんが、値嵩株を中心とした大型株への投資資金を呼び戻したという点では、正しく月間MVPに値する活躍でした。このポケモノミクス相場の効果により、7月中盤には日経平均株価が6連騰を記録する場面がありました。
一方、期待と不安が交錯した日米の金融政策は、空振りとまでは行かなくとも、期待を下回る内容だったようです。もっとも、一切の事前期待を持たなければ、特にネガティブ・インパクトを受けることはなかったと考えられます。
また、こうした金融政策よりも、7月下旬から始まったQ1決算による株価への反応が大きく、業績相場への動きを強めて終わったという印象がありました。
2016年8月の注目イベント、注目セクター
金融政策イベントがない8月の株式相場は、業績相場への動きを強める展開が予想されます。政策期待相場からの本格転換が期待される月になるでしょう。
FRB議長のポロリ発言が最大のリスク要因?
8月は日米の金融政策のイベント予定がありません。その分、8月5日に発表される7月の米国雇用統計に注目が集まりそうですが、極端に大きなサプライズがなければ、株式相場へのインパクトは限定的に終わると予想されます。
ただ、雇用統計のような公式発表数値より注意しなければいけないのは、イエレンFRB議長が講演でポロッと話してしまう“勇み足”的な発言です。思い返すと、2016年に入って以降、イエレン議長のポロリ発言によって、株価が大きく変動したことが何回もありました。
キーワードは“いったん、悪材料出尽くし”
国内では、8月のお盆休みまでQ1決算発表が行われますが、第1週(1日~5日)がピークとなりそうです。7月下旬に発表した第1陣では、実績が減益となっても、足元の業績が想定以上に好調な企業、あるいは、下方修正して悪材料を出した企業は、その後の株価が堅調です。
7月末から再び円高が加速していることには注意が必要ですが、8月もこうした動きが続くものと予想されます。4月末以降の厳しい収益環境を反映して、多くの企業の株価は最悪に近い状況を一度は織り込んだと見られます。そのボトム状況からさらに悪化していなければ、株価の見直し局面が続く可能性は十分あると言えましょう。
好業績銘柄の下値をコツコツ拾う戦略が有効に
正式発表はまだですが、政府の景気対策の全容も概ね見えてきましたので、これからは株価へのインパクトは限定的となります。こうした政策頼みの株式相場が終わり、企業決算の内容を評価する業績相場へのシフトが続く中、業種ごとに投資対象を絞るよりも、好業績の出遅れ銘柄をコツコツと拾う戦略が有効と考えられます。
また、日銀が曲がりなりにも追加緩和策(ETF購入6兆円)を打ち出したことで、大型株への資金シフトが続く可能性があるため、東証マザーズを始めとした新興株式市場の閑散相場は続くと見られます。薄商い時には、思わぬ株価の乱高下もありますので要注意です。
LIMO編集部