セットで把握しておきたい「総支給額」と「手取り」
収入金額と聞くと、私たちはついつい銀行口座に振り込まれた金額を想像しがちです。ところが実際は、会社が給与として社員の口座に振り込むのは、基本給と諸手当を合わせた総額から、所得税や社会保険料(厚生年金、健康保険、雇用保険など)といったものを差し引いた残りの金額となっています。つまり、私たちが自分の年収を考える時は、「引かれる前の金額」と考えなくてはいけません。
例えば、夫が年収1,000万円、妻は専業主婦、子どもが2人(18歳、15歳)という世帯の場合、面倒な計算はさておきざっくりと計算すると、社会保険料は、年収1,000万円のケースで月15万円ぐらいになります。また、所得税は10万円ほど。
年収を12カ月で割ったものを月給として考えると、約83万円になりますから、1カ月あたりの手取りは約60万円ということになります。
共働きの場合、それぞれの口座への入金となります。もしかしたら、Sさんは手取りだけに気を取られて、「総支給額」が見えていなかったのかもしれません。世帯収入に限ったことではありませんが、収入を考える時は、「総支給額」と「手取り」をセットで把握しておくことをおすすめします。なお、「総支給額」は、毎月の給与明細の数字を合算してもよいですが、年末調整時に発行される源泉徴収票を見れば、簡単に把握することができます。
まとめ
年収が上がって、「高等学校等就学支援金」がもらえなくなったり、「児童手当」が減額になったとしても、トータルでマイナスになるということは基本的にはないようです。ただ、「ずっともらえるつもりで、支出の予定を立てていた」というような場合、下手をすれば赤字ということにもつながりかねません。
共働きの場合、夫婦別財布というご家庭もあるかもしれませんが、やはりせめてどちらか一方だけでも、世帯の収入は正確に把握できるようにしておいたほうがよいでしょう。
参考
「高等学校等修学支援金制度」文部科学省
「早わかり グラフでみる長期労働統計 図12 専業主婦世帯と共働き世帯」JILPT
「児童手当制度のご案内」内閣府
LIMO編集部