要するに、世界の株式に投資するのですが、どの銘柄に投資するかは現時点では未定ということですね。この投資信託を購入した投資家は、当然このことを理解していると思います。
ただし、何に投資するかわからないものに投資するのなら、それは”さすが富裕層”というべき人たちでしょう。投資は余裕資金で最後は目をつぶって行うべし、というのを地で行っています。もっとも、販売会社である金融機関はこの投資信託を売るだけですから、投資リスクは一切負いません。
結局、販売会社にとって、こうした設定時に大きな資金を集められる大型ファンドが”いい投資信託”で、いくら運用成績が優れていても売れない投資信託は”ダメ”な投資信託なのです。
設定時の純資産総額が9割以上減るのが投資信託の実態
さて、さしもの”いい投資信託”でも、いつかは寿命を迎えます。図表1はかつての売れ筋投資信託が新規設定時に募集した金額と、現在の純資産総額の比較です。本来は設定時当初と現在の残存口数を比べたいところですが、資産規模のバロメーターとして純資産総額で比較してみます。
かなりショッキングなデータですが、設定当時の募集金額が1兆円に迫ろうかといった投資信託でさえ、運用環境が悪化して解約を受け続けると、年々資産を減らしてしまうのです。
驚くべきは純資産総額の減少率です。巨大な大ヒット投資信託でさえ、平均すると運用期間中に9割以上の資産を減らし、年平均3割近くの資産減少に見舞われているのが実態です。