大戸屋の上場来高値は2002年1月の3,270円

大戸屋はITバブル期の2001年8月にIPO(株式上場)しました。IPO後の株価は順調に上昇し、2002年1月に上場来高値3,270円に到達します。しかしその後は株価が急落し、最終的に2002年12月495円の安値まで下落しました。

よってコロワイドのTOB価格である3,081円を超える株価で株式を所有するのは、天井の2002年1月に取得した投資家のみということになります。つまり、大戸屋の株主のほとんどは、コロワイドのTOBに応じることでキャピタルゲインが得られるわけです。

ITバブル期の株価水準を回復できないままの上場企業も多い中、その時期に付けた天井に近い株価でTOBを行うコロワイドは太っ腹と言えるでしょう。株主総会でコロワイドの株主提案に反対した株主も、今回は直接自らの懐に響く話であり、情の部分はさておき、利の部分では目の前にニンジンがぶら下がっている状態です。

そして、こうしたTOBの株価設定を行ったコロワイドは、本気で大戸屋を取りに来た=子会社化を行う決意、と見ることができます(TOBにより株式シェアを19%から51%まで高め子会社化する計画)。

大戸屋ホールディングスの過去20年の株価推移

業績が低迷する大戸屋に対して破格のTOB価格設定

次に大戸屋の業績を確認してみましょう。過去5期の業績推移は以下の通りです。

2016年3月期 売上高260億円、経常利益5.9億円、当期純利益3.0億円
2017年3月期 売上高256億円、経常利益7.1億円、当期純利益3.6億円
2018年3月期 売上高263億円、経常利益6.6億円、当期純利益2.0億円
2019年3月期 売上高257億円、経常利益4.6億円、当期純利益0.6億円
2020年3月期 売上高246億円、経常利益▲5.7億円、当期純利益▲11.5億円

大戸屋はコロナ禍のあった2020年3月期に、赤字決算となっています。ただし既に2019年3月期まで減益決算が続いており、業績的には行き詰まりの状態にありました。