そして獲得可能性というのは「努力すれば自分が持てそうなものを、相手が持っている」ということです。ママ友でいえば、自分と同じ生活水準だと思っていたママ友が、自分が住んでいるよりグレードの高いマンションを購入した時などに起きる嫉妬です。
YouTuberは常人離れした努力や創意工夫でなし得た人気や年収なのですが、嫉妬する中高年にとっては「やろうと思えば、自分にもできそうな大したことのない仕事」と認識しているのかもしれません。実際に自分たちがやってみれば、到底真似のできないことなのですが、実態を正しく把握できないが故に、獲得可能性を感じて嫉妬してしまうものと考えます。
正しい理解をすれば嫉妬は消える
筆者は嫉妬というものは「理解不足」が根本的な原因にあると考えています。
SNSを見てみれば、承認欲求を爆発させてブランドバッグを見せびらかしたり、タワーマンションでラグジュアリーな時間を過ごす投稿をして、それに嫉妬する人を垣間見ることがあります。これは上述した「類似性と獲得可能性」が高いほど嫉妬心が増幅してしまうものです。「自分と同じレベルのくせに、こいつだけいい思いをしやがって」という悔しさから来る心理なのでしょう。
しかし、実際に承認欲求からいい思いをしていることをPRする人たちの人生も、決して楽ではありません。ブランドバッグを買って自慢をしていても、家族間の愛は冷めきっている気の毒な人なのかもしれません。また、良いマンションに住んでいても、実は住宅ローンの返済で家計は火の車。食事や外食などの生活レベルはむしろ、引越し前より落ちてしまっているかもしれません。本人のご苦労を理解すれば、嫉妬心を持っていた人も「彼/彼女らも苦労しているんだな」と溜飲を下げるでしょう。
YouTuberも同じことだと思います。中高年がYouTuberに嫉妬するのは、ひとえに理解不足によるものなのです。アスリートのような自己研鑽と、コツコツ絶え間ない努力の上に成り立つ職業であることを理解できれば、「真面目に働きなさい」と彼/彼女らにいわないのではないでしょうか。
参考図書
『ヒトは「いじめ」をやめられない』
著者:中野 信子
発売日:2017年9月28日
刊行:小学館
高級フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」代表 黒坂 岳央