都会育ちの人が生活費の安い地方へ移住するケースは、以前より多くなっているのではないでしょうか。今やネットで手軽に買い物ができるだけではなく、必要な情報やビジネスもネット経由で得られる時代です。ネットがつながるPCがあれば、生活費の高い東京から出ていって、地方の広い家で安価に生きていくことは経済的合理性があるように思えます。
しかし、住み慣れた都会を離れて地方で広い一戸建てを借りるも、田舎の文化を受け入れられずに東京へ戻る人もいるのです。
筆者は大阪生まれ、大学はアメリカのシカゴ、就職は東京でしたので都会育ちの人間です。しかし起業に際して、家の周りを野生のムササビが飛ぶような田舎に移住しました。自らの経験談を踏まえて「都会育ちが田舎へ移住するのは難しいか?」を考えてみたいと思います。
都会育ちにとって辛い田舎の文化
田舎には、都会にない文化があります。その筆頭は「すぐ噂を立てられること」です。
筆者は会社経営者で時間の融通が利く立場です。移住して昼間のスーパーで子供を連れて買い物をしていたのですが、一日にして自分が東京から引っ越してきたことが噂になったようです(後から聞かされました)。東京では昼間からベビーカーを押してぶらつく男は珍しくもないですが、どうやら地方では少数派だったようで不審者のように思われてしまいました。
また、田舎には独自のコミュニティがあります。自治体のイベントなどの中には、ほぼ強制参加となっているものもあります。従業員の女性は「婦人会に行きたくない。いつも憂鬱」とこぼしていました。嫌なら行かなくて良いのでは?と思うのですが、「ここでは行かない選択肢はないの」というのです。その他、地域によっては草刈りや行事のお手伝いなどもあります。
こうした都会にはない田舎特有の文化は、移住者には面倒に感じるのでしょう。