スモールビジネスとスタートアップ

目指すゴールが、1人もしくは小さなチームで自由気ままに事業を展開するスモールビジネスなのか、大きな利益を上げて上場を目指すスタートアップなのかの違いもあります。無駄な費用を使わないためにも、起業の目的を明確にすることは大切です。とにかく会社に属したくないのか、大金を手に入れたいのか、思うがままに事業を展開したいのか。もっと言えば、ご自身にとっての幸せの定義が必要です。

単に会社に属することが苦痛で起業(独立)をした人が、借金をしてまで投資をする必要はありません。逆に、上場企業を作る野望のある人が、時間の切り売りをしてはいけません。私の場合は事業を拡大する意志はある一方で、自分の思う通りに事業を展開することも大切にしていますから、銀行から過大な借入をしたり、投資家から過半の出資を受けることは決してしないでしょう。

つまり、やりたいことがスモールビジネスであれば、起業をして生活をしていくためのハードルは世間が思っているほどには高くありません。一方で、大成功をゴールとするスタートアップであれば、多額の負債を抱えますし、失敗をして倒産する可能性は相対的に高くなります。

起業して失敗したら人生は終わりなのか

最後に、良く論点になる「起業をして失敗したら人生は終わりなのか」ということに触れておきます。連帯保証を付けて巨額の借入をして、返せなくなったら一家心中なんでしょうと。いやいや、決してそんなことはありません。昨今は連帯保証も外れていく方向ですし、仮に本当にそんな状態になったら、不謹慎な表現ですが自己破産をするだけです。これが最悪のシナリオです。

だから気軽に自己破産をしましょうという意味ではありません。自己破産をすればほぼ全財産を失いますし、破産手続きの間は資格や職業、行動に制約を受けます。お世話になった人に迷惑をかけたり、世間から冷たい目で見られたりすることもあるでしょう。しかし逆に言うと、これ以上にひどいことは起こらないんです。

もちろん自己破産後の就職も可能ですし、時間はかかるかもしれませんが、新たな事業に挑戦することも可能です。まだまだ日本社会は挑戦して失敗した人に優しいとは言えませんが、かといって起業に失敗したからといって命まで取られることは無いのです。このことは、知っておいた方が良いでしょう。

私の場合は、返せなくなるくらいの借金をするつもりはないので、最悪のシナリオは再就職です。給料は以前とは比べ物にならないくらい下がると思いますが、家族を養うくらいは可能だと思っています。

ということで、一口に起業と言っても様々なスタイルがありますので、「自分にとってゴールは何で、最大のリスクは何か」ということを考えながら、起業という選択肢についても検討してみた方が良いでしょう。食べていくだけなら、それほど難しくはないと思いますし。

それでは、また。フラスコ代表、安田でした。

安田 修