株式市場の振り返り-円安進行を好感して反発、ポケモノミクス相場の狂乱は沈静化へ

2016年7月21日(木)の東京株式市場は反発となりました。日経平均株価は前日比+0.8%の上昇、TOPIXも+0.7%の上昇で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数も+0.1%上昇して、6日ぶりの反発となりました。

日経平均株価は、円安進行の流れを受けて前日比+173円高で寄り付き、前場の半ばには一時+257円高まで上昇し、17,000円が視野に入りました。しかし、その後は上値が重くなり、後場に入ると+58円高まで上げ幅を急速に縮小します。最後はやや盛り返して、大引けは+128円高の16,810円で終わりました。終値での16,800円台は6月8日以来です。

東証1部で上昇したのは1,152銘柄、値下がり690銘柄、変わらず126銘柄でした。東証1部の出来高は20億660万株、売買代金は2兆5,810億円(概算)となっています。売買代金は前日より減少しましたが、まずまずの水準と言えましょう。

セクター動向と主要銘柄の動き-25業種が上昇、任天堂は粗い値動きの中で小幅上昇

東証1部で上昇したのは25業種、下落したのは8業種でした。上昇率上位に大きな特徴は見られませんでしたが、円安進行を背景に、輸送用機器などが買われています。他方、下落した業種には、前日に上昇した内需関連業種が多かったことが特徴です。

個別銘柄では、前日に大幅下落となった任天堂(7974)が小幅上昇となり、ファーストリティリング(9983)やファナック(6954)も買われました。コマツ(6301)、日本電産(6594)、アドバンテスト(6857)などが年初来高値を更新した他、ホンダ(7267)、富士重工(7270)、デンソー(6902)などの自動車関連銘柄も大きく値を上げています。一方、KDDI(9433)、塩野義製薬(4507)、京セラ(6971)などの主力株が値を下げ、しまむら(8227)やニトリホールディングス(9843)が大幅下落となりました。また、取引時間中に年初来高値を更新したソニー(6758)も終値では小幅下落となっています。

東証マザーズ市場の動き-小幅ながら6日ぶりの反発、売買代金は800億円を下回る薄商い

東証マザーズ総合指数は、寄り付き後の朝方は高く推移しましたが、買いの勢いが続かず、取引時間中は前日終値を挟んだ攻防となりました。結局、6日ぶりの反発となりましたが、ほぼ前日終値と変わらないレベルでした。出来高は前日より若干増加して4,991万株となりましたが、逆に売買代金は大幅に減少して763億円に止まっています。深刻な薄商いが続いています。なお、値上がりが125銘柄、値下がりは93銘柄、変わらず14銘柄でした。閑散相場を打破するような材料はいつになれば出て来るのでしょうか。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)は前日と変わらず、CYBERDYNE(7779)とミクシィ(2121)は値を下げました。東証1部へ変更となるHamee(3134)がストップ高となり、アイティメディア(2148)もストップ高となったのが目立ちましたが、それ以外で大きく動いた銘柄は少なかったようです。

本日(7月22日)の注目点-ポケモノミクス相場の次の注目は日本電産のQ1決算へ

21日は、一連のポケモノミクス相場の狂乱が沈静化され始めたという点では、ポジティブな印象があります。また、一時107円/ドルを超える円安となったことも、外需セクターを中心に資金流入の対象となったようです。しかし、引け後の夕方になると、再び為替相場が円高へ向かい始めており、一時は105円/ドル台半ばまで進みました。週末22日(金)は、再び為替相場の動向に注視すべきと言えましょう。

さて、ポケモノミクス相場に沸いている間に、何時の間にか、Q1決算発表が本格化し始めます。22日(金)の引け後には、注目主力株の1つである日本電産の発表が予定されています。円高の影響、海外経済の行方、Q2以降の見通し等、ある意味では来週以降のQ1決算のベンチマークにもなります。取引時間中から様々な思惑で株価が動き始める可能性がありますので、日本電産株に注目したいと思います。

一方の新興市場は、残念ながら、手の施しようがありません。ここまで閑散としたならば、新たな物色テーマの登場まで静観するのが得策と考えられます。

 

青山 諭志