50代の4人に1人がシングル世帯
2015年の国勢調査によると、50代の総人口は1,545万人弱で、男女それぞれの人口は770万人前後とほぼ同じくらいになっています。そのなかで、意外に多いと感じたのがシングル世帯の数です。50代では男性で200.7万人、26.1%、女性で182.1万人、23.5%がシングル世帯です。
さらに、国勢調査では、婚姻状況別に未婚、有配偶、死別、離別の4つに分けていますが、50代男性シングルのうち70.4%が未婚なのに対して、50代女性は57.2%が既婚で配偶者と死別・離別しています。50代の場合、男女でシングルの理由に大きな違いがあるわけです。
ちなみに50代女性で105万人弱が死別・離別でシングルになった世帯となります。シングル世帯であることやそこに至る理由を問題にするつもりはありませんが、50代の退職準備の進展という視点から見ると、女性で離別・死別でシングルになった世帯の退職準備が不十分であることが、非常に気になるところです。
50代女性のシングル世帯の退職準備に懸念
そこで、フィデリティ退職・投資教育研究所が2019年に行ったサラリーマン1万人アンケートの結果を、再度分析してみました。婚姻状態別に50代の世帯年収と世帯資産を集計してみたのですが、そこで分かったのは、50代女性で既婚・配偶者無しの世帯の資産形成が大きく出遅れていることです。
平均値ですので、ばらつきを考慮する必要はあります。しかし、それでも50代男性の場合、婚姻状態に関係なく世帯資産は1,000万円台の後半となっていますが、50代女性の場合には、既婚配偶者無しの平均資産額だけが、他のセグメントの半分程度、850万円弱に留まっています。
50代女性で、未婚、既婚配偶者無しの世帯ともに平均年収は400万円台後半と決して多くないなか、既婚配偶者無しの世帯の資産積み上げ不足は、平均余命が長い女性であることを考慮すれば、退職後の生活により強い不安を残します。それだけに資産運用の重要性が高いのではないでしょうか。
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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史