我が家には、とても小さくていびつなクッションがあります。縫い目と呼ぶのがためらわれるほどのガタガタの縫い目、中の綿が徐々に抜けてしまってなんとも薄っぺらく、「クッション」と呼ぶには頼りないフォルム…。

しかし娘はそのクッションを毎日それなりの形に整え、家の一番目立つところに飾っています。そして、友人が来ると仰々しくそのクッションを差し出し「お客様だから」と、そのクッションに座るようすすめるのです。それは、娘が幼稚園で先生の手を借りて初めて作った作品。娘にとって思い入れたっぷりのクッションなのです。

丁寧に手入れをし、そしてしかるべき時に使う…。そんな娘の姿に「物を大切にする」ことの真意を教えてもらった気がしている筆者です。

まとめ

時に私たちは、物事の真意を深く考えないまま、「それが正しいことだから」という理屈だけで、子供をしつけたり教育したりしてしまいます。その最たる例のひとつが「物を大切にしなさい」という言葉だと思うのです。

子供に何かを教えるときは、ただ字面通りの言葉を投げかけるのではなく、その言葉の根底にある「本当の意味」をわかりやすく教えてあげなければいけないのではないでしょうか。

大中 千景