離れてもその習慣から抜けだせない

その後、Kさんは結婚し自宅をでることに。この時「潤滑油の自分が家をでて大丈夫だろうか」という罪悪感があったそう。結婚相手であるご主人は穏やかな人で、Kさんが唯一顔色を窺わない相手だったそうです。

「夫と結婚してびっくりしたのが『何も考えずに意見を言っても波風が立たない』ということ。自分的に『今の発言は無神経だった!』と思っても夫は父のように豹変しませんでした。ここが『家庭』であるのなら、こんなに気を使わない対等な関係が家庭内にあるんだと衝撃を受けたのを覚えています」

ご主人の穏やかさに驚きつつも救われ、新しい人生を歩き出したKさん。しかし、お子さんがうまれてご近所付き合いが始まると、今度はママ友の顔色を窺う生活が始まったといいます。

「一人気の強い方がいて、その人の機嫌を損なうとグループに不穏な空気が漂ってしまうので、気づくと私が先回りして彼女が機嫌よくいられるようにセッティングしていました。そんな行いは他のママから感謝されましたが、精神的にかなり負担で。でも他の人がこんな嫌な思いをするなら私が…とつい頑張ってしまう私を夫は『理解できない』と言っていました。

『彼は誰かが犠牲にならないと穏やかでいられない空間を知らないんだ』そう思ったらとてもさみしく、羨ましい気持ちに。また、こんな風に自分を大切にできない人間にした父への怒りで、今更ながら改めて大嫌いな存在になっていました」