第三者から見た自分の家

夫の人の顔色を気にしないところに魅力を感じていたはずが、徐々にその生い立ちにすら嫉妬するようになったというKさん。愛する夫にすら負の感情を持つきっかけとなったのは父のせいだという思いを強めていきます。ある時、周りの顔色ばかり窺う自分に嫌気がさし、生い立ちについて信頼できる友人に打ち明けたそう。すると、友人は意外な返答をしました。

「私が長年苦しんだ父の横暴な態度。離れていてもその陰に怯え、同じタイプの人間を恐れてしまう原因である父が許せない。私はそう打ち明けました。すると友人は『原因はお母さんだと思う』といったんです。私はなんて見当はずれな言葉だろうと思ったのですが、彼女が言うには『あなたを守るべき存在である母親が、あなたに守られていた。それは歪んだ関係じゃない?』と。今まで一度もそんな風に考えたことのなかった私はかなりの衝撃を受けました」

友人の言葉をきっかけに「長女である自分が守らなければと思っていた母」について考え始めたというKさん。確かに、その家に生まれてしまったKさんと違い、母は夫である父を選んで結婚したはず。にもかかわらず、父のいないところで父への不満や自分の辛さを小さなKさんに吐露していた母の弱さは、Kさんの必要以上に自分を犠牲にし他人を守らなければと考える思考に大きくかかわっていることに気づいたそうです。

「母は常日ごろ『私たちは親友親子だよね』といっていました。しかし、よくよく思い返せば、弱音や本音を吐き出せていたのは母だけ。私はそんな母を守るために早く大人になったことに気づいてしまいました」