その背景には、家族や生活のためなど様々な理由があるでしょうが、中にはこの状況を変えたいと思いつつも“なかなか一歩が踏み出せない…”という方もいるかもしれません。

実は、この感情は至極当然のことなのです。

人が変化を嫌う心理学的な理由

人間は本来、今の状態(例:現在の会社で慣れている仕事をこなす)を心地良く感じてしまい、変化(例:新しい環境や初めての仕事)を本能的に嫌う性質があるからです。心理学では、この「変化するのを嫌う(人間本来の)性質」を「現状維持バイアス」と呼んでいます。

この現状維持バイアスがあることで、何かにチャレンジすることや、やるべきだとわかっていたとしても、新しいことを前にすると二の足を踏んでしまうという状態が、我々人間には容易に起こってしまうのです。

行動に移すための心理学的なアプローチ

では、現状維持バイアスを乗り越えて、人生の変化に対応していくにはどうしたら良いのでしょうか?

ここでのポイントは、行動できない原因が現状維持バイアスにあることを意識し、このバイアスを取り除く方法を考えることなのですが、心理学では現状維持バイアスを取り除く方法として「保有効果」が推奨されています。

保有効果とは「一度手に入れると手放したくなくなる」という心理効果のことです。たとえば、Netflixなどの動画配信サービスが提供している無料体験期間なども、この保有効果を利用したマーケティング戦略と言えるでしょう。一時的に私たちが無料で「利用(保有)」することで、その後も有料登録してもらいやすくする戦略です。

このように私たちは一度慣れてしまうと、その後は想像していたよりも容易に環境に適応していく傾向にあるのです。