この保有効果を実生活で活かすには、「お試し体験」という考え方を意識してみることがおすすめです。

たとえば、今回の新型コロナウイルスの影響によって、初めて在宅勤務を経験したという方も多かったのではないでしょうか。これがまさに、お試し体験の状態ですので、今まで漠然と“在宅勤務もいいかも?”と思っていた方の中には、“できれば今後も在宅勤務を取り入れていきたい”というように、明らかな変化を実感している方もいるかと思います。

また、資格の勉強を始めたいという方は、とりあえず何も考えずに机に向かってみましょう。そうすることで「勉強する」という行為をお試し体験できるため、実際に勉強を始めるハードルを下げることができます。

その他にも、就職などの場面では、あらかじめインターンとしてその環境で働いてみるお試し体験が、保有効果を引き出す有効な方法として心理学では知られています。

つまり、一気に行動に移そうとはせずに、お試し体験から保有効果を引き出すように意識することで、変化にも適応しやすくすることができるのです。

まとめ

今回は変化に上手く適応し、行動を起こす方法について心理学的な視点から解説してきました。人間は本来「現状維持バイアス」を持っているため、どうしても今の状態が心地よく感じてしまい変化を嫌ってしまいます。

新しい環境に不安のある方や、何か新しいことを始めたい方は、ぜひ本記事を参考に「お試し体験」を意識することから始めてみてはいかかでしょうか。

【参考】『サラリーマン実態調査』(株式会社LENDEX)

鈴木 拓人