その動画は、小学校高学年くらいの女の子が新商品のおもちゃで遊んでいるもの。しかし、カメラの外から母親がアレコレと指示を出しているのです。
「はい、じゃあそのおもちゃを持って〇〇してみて!」「じゃあ、次は〇〇しようか!」と指図する母親の声は、さながら映画監督。画面の女の子はかわいらしいドレスに身を包み、メイクもしっかりほどこされているのですが、たどたどしい口調や取ってつけたような笑顔に「やらされている」感が見え隠れ。
「ねぇ、このチャンネルはやめてくれない? もっと楽しくて勉強になる動画が他にあるんじゃないの」──思わずそう声をかけた筆者。
「果たしてこの動画を制作して楽しいのは、誰なんだろう」
そう思うと、なんだか腹立たしささえ感じるのでした。
褒めてほしがっているのは「親」
別の日に、件のYouTubeチャンネルのことを友人に話すと、みな一様に「知ってる! あの子、なんだか可哀そうなんだよね」という返答。
そこで話題になったのが「子供たちは果たして、本当に“有名になりたくて”YouTuberになったのだろうか」ということ。
子供たちが何かを「やってみたい」と思う動機は、ほとんどが「楽しそう」というもののはず。YouTuberも例外ではないでしょう。もちろん中には「お金を稼ぎたい」「有名になりたい」という野心を抱いている子もいるかもしれません。
しかし、再生回数を稼ぐのに重要なのは、動画編集能力と資金、そして時間。
そこで必要になるのがプロデューサー、つまり親。