理想と現実のギャップが見えてくる50代こそ退職後の必要額を再検討
世界の金融市場が波乱となっているなか、資産形成を始めたばかりの若年層よりもすでにある程度の資産が出来上がっている50代の方のほうが、その影響は大きく、苦悩を感じているのではないでしょうか。
しかも50代になると退職後の生活が近づくことから、より現実感をもった形で想像できるようになってきます。そのため、自身の資産形成の現状と退職後の生活の現実感のギャップに不安が募ってくるものです。
だからこそ、改めて50代にとっての資産形成の考え方を整理しておく必要があります。まずは「望ましい退職後の生活、またはその生活に必要な生活資金総額」をどう設定するかから振り返ってみます。
退職後の生活に必要な資金はどれくらい必要かを考えるには、何歳までの生活を想定するか、年間どれくらいの生活資金を想定するか、の2つの前提条件を押さえておくことが必要です。
何歳まで生きるかは誰にもわからないことですから、あまり楽観的に考えないで、準備としては保守的に設定することが大切です。一般には平均余命(2018年データ、60歳男性で83.8歳、同女性で89.0歳)を使った議論をすることが多いのですが、危険な方法でもあります。
平均余命とは大まかにいえばある年齢の人の亡くなるまでの年齢の平均ですから、これを前提に退職後生活資金を計算すると、それより長生きする多くの人が資金不足になる計画になってしまいます。これではとても安心できません。
そこで現在の60歳の人が20%の確率で生きている「20%生存確率」の年齢(女性96歳、男性91歳)を使って、夫婦で95歳をめどに計画を立てるように勧めています。