「パワーカップル扱い」は企業側の都合?

日本でも今後失業者が増えるのは予想されます。共稼ぎで安定した購買力をもっていたパワーカップルにもライフスタイルの現状維持が厳しくなる日が来るかもしれません。

とくに日本では「パワーカップル扱い」される条件が欧米と比べると低く、さらに年々下げられていますので、案外脆いパワーカップルもいるかもしれません。

そもそも「パワーカップル」という言葉は2013年に『夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち』夫婦格差社会-二極化する結婚のかたち」(橘木 俊詔・迫田 さやか著、中央公論新社)という書籍で使われ、高学歴のエリート夫婦を示唆し、「夫が1,600万円以上、妻が1,000万円以上をパワーカップルの象徴といえる」(※3)としていました。

ところが2017年、ニッセイ基礎研究所では「定義は悩むところだ」とした上で、「夫も妻も同様に高い購買力を持つことなどを考慮すると、夫婦ともに年収700万円以上」の世帯をさすのだろうとしました(※4)。

その後2018年、三菱総合研究所では「夫の年収が600万円以上、妻が400万円以上で世帯年収が1,000万円以上の夫婦」だと見ていると産経新聞(※5)が伝えました。

さらに産経新聞では、1人で世帯収入1,000万円の家庭と比べると「パワーカップルの月間消費支出総額は約1.4倍も多いという」点や「時短、外注」のための出費や、「新商品」購入などの出費に糸目をつけない購買意欲を指摘しています。

どうやら企業にとって「パワーカップル扱い」は、共稼ぎ夫婦の購買意欲を刺激するには都合が良いようです。