夫婦の共有時間増加による出生率上昇の可能性

一方、日本を含めた先進諸国における避妊具や避妊薬の使用状況はどうでしょうか。日本でも一時、コンドームの品薄感が懸念されたものの、マスクやアルコール除菌剤のような入手困難には至りませんでした。現在でも、コンビニやドラッグストアでこれまで通りに購入することができます。

一方、緊急事態宣言で自宅からのリモートワークが半ば強制となったケースも多く、また、外出自粛要請によって在宅時間が大幅増加となりました。それに伴い、夫婦(婚姻前の同居男女を含む)が共有する時間も飛躍的に増えたことは確かです。

夫婦による共有時間の増加が、即刻ベビーブームにつながるとは思いません。しかし、夫婦で共有する時間が増えた中、お互いに話し合って意図的にコンドームを使用しなかったり、あるいは、”なんとなく”使用しなかったりしても不思議ではないと考えられます。

ご存知の通り、日本は人口減少が鮮明になっており、この流れをいかにして食い止めるかは重要な政策課題です。

意図的かそうでないかは別として、厚生労働省が公表する「人口動態統計月報」において、来年2021年1~3月の新生児数などを見れば、この外出自粛期間の動向が判明するかもしれません。まずはそれに注目したいと思います。

葛西 裕一