朝から始まる家事 

テレワークがはじまった当初、Sさんはこの快適さに驚いたのだそう。満員電車で座ることもできず、毎日2時間を費やしてきた通勤がなくなり、朝は1時間遅く起床できるようになりました。

起床後Sさんがのんびりコーヒーを飲んでいると、パジャマ姿の妻が8カ月の息子のオムツを交換したり、ミルクをあげたりとせわしなく動いている姿が目に入ります。Sさんがつい「洗濯機、今のうちにまわしたら?」「家だからって、いつまでもパジャマのままはよくないよ」と助言すると、妻に睨まれたそうです。

「効率よく家事をすすめられるよう教えてあげたのに…と、このときは腹が立ちましたが、後日、妻の気持ちを知ることができたのです。」それは、テレワークをはじめて4日ほどたったときでした。深夜にたまたま目覚めたSさんは、リビングの小さな明りに気づいたのです。

「水でも飲もうとキッチンへ向かうと、リビングの明かりに気づきました。そこには、小さな間接照明の明かりで息子をあやしている妻がいたのです。『大丈夫?』と声をかけると、妻は慌てた顔で『起こしてごめんね』と謝ってきました。聞けば、ここ何週間も息子の夜泣きがひどくて、妻は眠れていなかったそうです…。」Sさんは、ここから子育ての大変さを理解するのでした。