疑問だった出社後の妻の時間 

30代男性のSさんも、緊急事態宣言でテレワークに切り替えたひとり。同期入社だった妻は現在育児休暇中で、8カ月の息子の世話と家事を一手に引き受けています。Sさんの業務は普段から定時帰宅が基本で、残業は繁盛期以外、ほぼありません。同期の妻はそれを知っているので「できる限り育児に参加してほしい」というのですが、Sさんにはそれが納得できなかったといいます。

「だって僕は往復2時間かけて通勤、そして8時間勤務。合計10時間は外で頑張っているんです。1日中家にいる妻が、家のことをするのは当然だと思っていました…。」

だからといって、まったく協力していなかったわけではないといいます。仕事帰りの買い出しはSさんの担当だったのだとか。そのため、家に帰れば何もしなくていいだろうと考えていたそうです。

「朝はパジャマのままお見送り。帰宅しても夕飯の準備はまだしも、洗濯物すら畳んでいないことがよくありました。こっちは朝から忙しく働いているのに、妻はだらけた生活をしていると思ったのです。妻は『私だってがんばっている』といっていましたが、その努力が僕には見えませんでした。」そんなSさんの考えを変えたのは、緊急事態宣言ではじまった「テレワーク」だったのです。