「聞いておきたいこと」

1「何が、どこにあるのか」

離れて暮らしている場合、どこに・何がしまわれているのか、正確に把握できていないケースがほとんどではないでしょうか。昔一緒に住んでいた実家だったとしても、年月が経つとモノの置き場所も微妙に変わっていたりしますよね。

最近は、「設備の点検」などと称し、高齢者の自宅に上がり込んで金品を盗む、という犯罪も見受けられます。

まず、通帳、印鑑、キャッシュカードなどのお金に関わる貴重品の置き場所は教えてもらっておくことをおすすめします。そして、安全な状態で保管されているかどうかを確認しましょう。

急な病気やケガの際に必要となる、健康保険証、生命保険や医療保険の証書などの保管場所も共有しておくとさらに安心です。

2「通院・服薬はしているか」

健康保険証については先述のとおりですが、「お薬手帳」の記載内容も重要です。メールやLINEなどで画像を送ってもらえると安心です。

既往症・アレルギーの有無・飲んでいる薬・かかりつけ医と通院の頻度などについては、日頃の近況報告のときに話題にしておくとよいでしょう。

受診歴のない病院に救急搬送された場合などは、既往症や服薬内容などを詳しく聞かれます。本人が受け答えできない状態になったときのために、親子間で情報共有しておくことをおすすめします。

筆者の場合、「健康状態や緊急連絡先をまとめたノート」を老親宅のリビングのテレビ横に置いています。自宅から救急搬送される場合に備え、救急隊員の目にとまりやすいところに置くのがポイントです。

3「連絡をとってほしい人は誰か」

“もしものとき”に知らせたい人については、ぜひリストアップをお願いしましょう。

現役で仕事をしていたり、地域のコミュニティで役割を持っていたりする場合などは、短期間の入院であっても知らせておくべき相手がいます。

例えば、自営業なら取引先や税理士さん、地域活動であればご近所さんや自治会メンバー、といった事務的な接点がある相手ですね。

逆に、人によっては「知らせてほしくない相手」が存在する場合もあるようです。
「短い入院程度ならば、きょうだいには黙っていたい」
「親しい友人には入院した時点で知らせてほしい」
「万が一の場合でも、確執があったきょうだいには絶対に知らせないでくれ」
など、思いは人それぞれです。

経験上、兄・姉・親など、自分より年上の相手には心配をかけたくない、と感じる高齢者は多いようです。ここは親の側の気持ちやプライドを大切にしながら、丁寧に対応していきたいですね。

4「普段はどんな生活をしているのか」

日常生活でどのようなサービスを使っているのかを聞いておくとよいでしょう。

まず、介護サービスや訪問診療などを利用している場合は、ケアマネージャー、医療機関などへの連絡が必要です。

新聞販売店、日用品や食事などの宅配、ホームセキュリティなど、日常生活で契約・利用しているサービスがあれば、その連絡先リストも作っておくと便利です。いずれも、急な入院などで家を長期間留守にするときは、サービスの一時停止手続きをしなければなりません。

各サービス料金の支払い方法についても確認しておきましょう。銀行引き落としであれば口座残高の確認、振込を使っているようであれば振込用紙が届いていないか郵便受けの確認を忘れずに。