こうした夫の姿を見て、筆者は「そうか。これまで家事育児を“しなかった”のではなく、時間もないし本当にヘトヘトだったから“できなかった”んだ」と思いました。

平日は家に寝に帰ってくるような生活で、土日も「疲れている」としょっちゅう寝ていた夫。在宅勤務によって、どことなく表情が険しくなくなった夫を見ながら「1週間に10時間も満員電車に乗っていたらそりゃ顔も強張るか」と納得でき、家事育児をしない夫にイライラしていたこれまでの自分を反省するようになりました。

「子どもを見ながら仕事をする大変さ」「子どもと過ごす喜び」を知った夫

筆者は自営業のため、緊急事態宣言が出る前の3月末からすでに子どもの保育園登園を自粛させていました。子どもが家にいながらの仕事はかなり大変だけれども、有事なのだから子どもが昼寝している時間や夜中になんとか頑張って仕事をこなそう、と考えたからです。

しかし、実際に1歳8カ月の男の子と1日中過ごしながら仕事もこなすのは、かなりハードルが高いものでした。そこで先述の通り、4月初めから在宅勤務になった夫が可能な限り家事育児をサポートしてくれるようになると、少しずつ筆者も仕事のペースがつかめてくるように。

そんな中、仕事とプライベートをハッキリ分けることが難しい在宅勤務を1カ月経験した夫はあるとき、「子どもが家にいながら仕事するって無理だよね」とポツリ。そして「こんなに長い時間子どもと一緒にいるのは生まれてから初めてだけど、本来はこうじゃなきゃダメだよね」とも続けました。

これまで筆者がなぜ「ワンオペ育児は大変!」「子ども見ながら仕事なんて無理!」といつも言っていたのか、この1カ月でその意味が少し理解できたというのです。その一方で、これまで激務で子どもと一緒に過ごす時間がいかに短かったのか、その状況が親としていかにもったいないことをしてきたのかが身に染みているようでした。