自分が倒れた時のことを考えて従業員を自宅待機させるオーナー
そうした苦しみを感じているのは、京都市内にある保護猫カフェZ店も同じでした。こちらは固定のスタッフ猫がいるタイプの保護猫カフェですが、売り上げの減少に頭を悩ませています。「2月の中旬から売り上げがこれまでの50%ほどになり、下旬には25%に。3月になると10%になってしまって…。」
例年なら、桜が見ごろな今の時期は土日で50~70人がお店に足を運んでくれていましたが、現在では土日でもお客さんは2~4人。それでも営業し続けるのは、やはり猫たちの命を紡ぐためだと言います。「ご飯や猫砂は月10万円。病院代は健診だけなら月平均1万ほどですが、病気や入院、検査となると50~70万円ほどかかります。あと、当店では健康を維持するため、1年中エアコンで室温調節しているので光熱費が月に3~4万円。猫たちの居場所を確保し続けるという意味では、家賃も支払い続けることも重要です。」
Z店のように、猫を大切に気遣う保護猫カフェほど出費が大きいため、苦しい思いをしているのが現状。オーナーさんはこの先、休業した時のことも考え、現在はたったひとりで毎日お店を営業し続けています。「休業しても、朝晩の猫たちのお世話は必要です。その人材を確保しておかないといけないので、私が倒れたら変わってもらえるよう、いま従業員たちには自宅待機をお願いしています。」
営業終了時間を2時間早める。2方向から十分な換気をする。次亜塩素酸を使用した噴霧器を稼働する。ドアノブや手すり、椅子などを定期的に消毒する。こうした対策をしていますが、不安が消えることはありません。
「大切なお客様を感染のリスクにさらしてしまうのが苦しいです。そして、今、もしも猫が病気になってしまったらどうしようって考えます。でも、ヒヤヒヤしながらも病気の時用に蓄えていたお金を切り崩しながら経営を維持している状況…。私たちのような小さな猫カフェでは寄付金の窓口を作っても拡散力が足りず、どうしていいのか分かりません。頭をひねりながらできる限りのことはしているけれど、力不足と限界を感じています。」そう訴えるオーナーさんの叫びには、切実なものがあります。