Aさんには小学生の子どもがいます。また自身もパートで働いており、夫も激務。どうしてもAさんひとりでお母さんを介護するには限界があります。とはいえ施設に入れるのはしのびない…。Aさんはお姉さんに相談を持ち掛けます。

しかし、お姉さんの口から出てきた言葉は「私はもう出て行った人間だから」。

とてもじゃないけれど帰省して母親の世話をする余裕はない。もうあなたの好きにしてほしい。遺産も放棄する…と冷たく言い放つお姉さんに、Aさんは「あなたには人の心がないのか」と泣いて抗議。

大げんかの末、Aさんが「一切の縁を切る!」と宣言し、ふたりは音信不通になったそうです。

「母が時折寂しそうに、姉の名前を呼んで『あの子は元気か』と聞いてくるのが可哀そうで…それと同時に薄情な姉への憎しみと怒りが、日に日に増していきます」

実は、親の介護がきっかけで兄弟の仲が悪くなる…というのはありがちなこと。介護の主体となる人にばかり肉体的、精神的、そして金銭的負担がかかってしまうのがその理由です。できれば親が元気なうちに、介護の方法や費用の準備などを、本人の要望を聞きながら話しておくのがベストなのですが、なかなか親には話しづらい、という人も多いようです。