普通の企業と社員の関係も基本的には同じはずで、家賃を含め諸経費はいったん社員個人が立て替えて会社に請求するか、親切な会社だと会社契約で業者さんを差配してくれるかもしれません。

費用立て替え払いの場合は収入にはならないので問題ないのですが、自宅のスペースを会社に賃貸するとなれば個人の不動産所得です。会社は費用(損金)として家賃を社員に払い、個人は収入として認識するものではないでしょうか。

厄介なのは、その社員が自宅を賃借している場合や社宅の場合です。社宅の場合、所有者は会社なので何も言えません。ところが、第三者から賃借している場合、仕事場所を会社に提供していると考えれば又貸しになります。

通常の賃貸住宅の場合、又貸しは禁止です。テレワークの場合、会社がそのスペースを実質的に又借りしているということになると、家賃を社員に払うことが又貸し禁止に抵触してしまいます。しかしこの場合、社員が家賃を全て払い、そこで仕事をさせている会社が一切負担しないというのも納得いかないですね。

テレワークの普及で会社と社員の関係が見直される?

このように、テレワークには解決すべき問題点が多々あります。太っ腹な会社が、つべこべ言うな!と月30万円くらい給料とは別に払ってくれればいいですが、まずそんな会社はないでしょう。ただし、メルカリのように1人当たり6万円の在宅勤務手当を払う例があることは報道されています。

海外勤務だと家賃、教育費、一時帰国費用、その他費用を払ってくれる大手や外資系企業もありますが、なぜかテレワークや国内転勤だと社員側の持ち出しが多いのが実情でしょうね(筆者もそうでした)。

このように、今まで”なあなあ”で来たのが日本企業の会社員スタイル。でも、今回は”なあなあ”では済まなくなるでしょう。対応によっては、社員が愛想を尽かすかもしれません。

それはコロナショックよりも、企業存亡に関わる大きな問題です。請求するべきは請求し、払うべきは払う。それが令和時代の常識になるのではないでしょうか。

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太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)