結論から言うと、今でもそう変わっていない可能性が高いと思われます。少し古いデータですが、日本看護協会の調査によれば、2015年度における看護職の離職率(病院勤務のみ対象)は、常勤が10.9%、新卒が7.8%でした。

新卒の離職率8%未満は、大卒平均の11%前後(厚生労働所のサンプル調査)に比べると低い部類ですが、それでも大変な仕事であることがうかがえます。しかも、この数字は、小規模の病院ほど高くなっており、病床数99未満の新卒離職率は約14%に達しています。

それでも、看護師を志す若者が増えてきたことは注目に値しましょう。単純に昔と比較することはできませんが、看護師という職業に「やりがい」を感じ、社会的な使命感に燃える人が増加してきたとも見られます。

厳しさを増す看護師を取り巻く環境

他方、看護師を取り巻く環境は厳しさを増しています。実は、看護師の約85%が勤務する「病院」「診療所」では、医療費削減を念頭に、厚生労働省の旗振りの元で病床数の削減が実施される見込みです。これにより、そう遠くない将来、看護師の余剰時代が来るのでは?とささやかれ始めていました。

しかしながら、今回のCOVID-19による社会混乱、とりわけ、いわゆる“医療崩壊”を食い止めるために奮闘する看護師の存在が大きくクローズアップされたことは確かです。いや、ハッキリ言って、看護師が今以上に不足していれば、とっくの昔に医療崩壊が起きていたでしょう。

COVID-19との闘いが年単位の長期戦になるという見通しが強まる現在、厚労省のみならず、地方自治体を含めた日本全体で看護師を取り巻く環境を改善していく必要があります。COVID-19との闘いが、看護師を始めとする医療関係者の待遇改善に向けた一歩となることを期待します。

【参考資料】
平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況(厚生労働省)
看護統計資料(日本看護協会)
2019年度 看護系大学に係る基礎データ(文部科学省)
病床数を最大20万削減 25年政府目標、30万人を自宅に」(日本経済新聞 2015年6月15日付)

葛西 裕一