「妊娠は自己責任」という言葉に苦しむ妊婦たち
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が深刻なものになっている近ごろは誰かの苦しみを自分の辛さと比較して軽んじたり、心無い言葉を向けたりしてしまったりすることも多いもの。無痛分娩や計画分娩を初めから望んでいない人の心には、もしかしたらりえさんの悲鳴は響きづらいかもしれません。しかし、人が抱える様々な苦しみに大小をつけることはできません。
妊婦さんの悩みには「それでも産めるからいいじゃん」や「妊娠は病気じゃない」という厳しい言葉が向けらることもありますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で思い描いていた「普通」が叶わなくなっているのは理由こそ違えど、みなおなじ。その悲しみは妊娠の有無に関わらず、私たち全員が共感できる想い。だからこそ、「妊娠は自己責任」という冷たい響きの言葉を向けるのではなく、不安に寄り添うこともできるはずです。
「大変な時期だからこそ、お腹の赤ちゃんの力を信じて頑張っていきます。」最後にそう語ってくれた、りえさんのような妊婦さんが少しでも安心して出産に臨めるよう、私たちは他者に対して向ける言葉をもう一度考えていきたいものです。
古川 諭香