「推進派」は、学校での授業を「知識の習得の場」と考えていますが、現状維持派は、学校を知識習得だけでなく、「人格形成の場」だと位置づけています。
「現状維持派」は、人格形成をその人の性格や一般的な道徳観として捉えています。一方で、推進派にしてみれば、それは親がすることだとなってしまいます。
しかし、人間の人生とは、「他と異なる存在である証を模索して終えるものだ」と考えるのであれば、特定の社会の中で生まれ、育つことを意識することが、個の存在意義を深めることに役立ちます。
たとえば、その地域で作られた味噌で作るお母さんの味噌汁を味わうことが文化であり、そのうまい味噌汁を受け継ぎたいと意識することが伝統を作り出しています。
核家族化にともない、地域、社会が放れてゆくとしても、その地域、家族の中で意識されているものがある限り、伝統は残り続けます。
以前、テレビ番組で「鯉を食べない町」が紹介されていました。
栃木県小山市高椅地区では、「水不足に苦しみ神社に井戸を掘ったところ、水と共に大きな鯉が出てきたので、それ以来、人々は鯉をあがめるようになった」という言い伝えがあります。そのため、町では、鯉を食べません。鯉のぼりもあげません。鯉の柄の入った着物も着ないし、鯉の模様のお皿も使わないそうです。