「そもそも休暇や手当がない」

会社員や公務員といった厚生年金保険の被保険者であれば、自分自身がCOVID-19に感染して休業する場合、傷病手当金が支給されます。また、通勤途中や業務で感染したことが認められた場合は労災保険の給付対象になります。

しかし、フリーランス・個人事業主にはこうした保障はありませんし、有給休暇も休業手当もありません。冒頭で紹介した「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」は、業務委託契約等が明確に証明される場合はフリーランスにも支給されますが、1日あたりの金額は4,100円と雇用労働者のほぼ半分。

正式な契約書を取り交わさずに仕事を請け負う慣習がある業界もあります。
その場合、まったく補償が得られないことも考えられますので、事業経営や家計への打撃は計り知れません。

政府は実質的に無利子となる無担保の貸付制度をスタートさせましたが、これはあくまでも借金。負債を抱えることにためらいを感じる人も多いことでしょう。

国からの呼びかけ「適切な配慮を」

3月10日、経済産業省・厚生労働省・公正取引委員会は連名で、COVID-19の影響を受けたフリーランスや個人事業主に対する配慮を、発注元事業者に対して呼びかける具体的な要請を発表しました。(※2)

これはCOVID-19の影響で想定されるやりとりについて、弱い立場にある個人事業主・フリーランスの側に立った適切な対応を求めるもので、

  • 報酬額や支払期日などの契約内容に変更が生じた場合は、書面で明確に
  • 個人事業主・フリーランスが事業を続けていけるよう、取引関係の継続や優先的な発注を
  • 体調不良や、学校の休校などを理由とした納期延長の求めがあった場合、柔軟な対応を

という内容となっています。

個人事業主・フリーランスは、企業などに雇われている「被用者」とは異なり、厚生年金や労働基準法の適用対象外です。

休業を余儀なくされた場合にとても不安定な立場である点が、今回のCOVID-19の感染拡大を通じて如実にあらわれた一例ではないかと思います。