テドロス氏は、2005年から2012年にかけてエチオピアの保健大臣、その後2016年まで外務大臣を務めた大物政治家でもある。そのため、近年中国から多額の支援を受けるエチオピアと北京との癒着は想像には難くない。
中国は先月、日本円にして21億円をWHOに寄付すると発表した。新型コロナウイルスをめぐる国際協力のためとしているが、現在のWHOを中国の“傀儡(かいらい)機関”だと揶揄する人も少なくない。
他の国際機関でも存在感を増す中国
また、現在、15ある国連の専門機関のうち、国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国際電気通信連合(ITU)、国際民間航空機関(ICAO)の4つの機関で中国人がトップを務めている。
北京に国連を乗っ取ろうとする意思はないだろうが、影響力を高めようとする思惑はあるはずだ。
国連総会が典型例だが、国連は一国一票制が原則である。中国としては一帯一路の参加国を中心に、各専門機関の事務局長選挙の際、チャイナマネーを駆使してできるだけ多くの票を集め、国連での影響力をさらに高めていきたい狙いがある。