長期的な投資を始める

株価が下がると悲壮感が漂いますが、これから投資を始める場合はチャンスだと言うこともできるでしょう。

筆者は2011年にメガバンクに入社し、多くの富裕層(企業オーナー)の顧客を担当しました。当時はリーマンショックの影響が残るところに東日本大震災が起きて経済は停滞していましたが、そんな中でも富裕層達は粛々と投資を続けていました。

そして、経済が回復してくると富裕層が投資した金融商品の含み益がどんどん増えていくことを目の当たりにして、短期的な株価の上下などで一喜一憂するのではなく、長期的な視点での投資が持つ効果を実感したのです。

正直なところ、世界中のアナリストが1カ月前に今の状況を予言できなかったように、誰にも今回のコロナショックによる底値は分かりません。収束の兆しが見えるまでは不安定な値動きになるでしょう。

しかし、コロナショック前に高値圏だったものを割安に手に入れることができるというのも事実です。たとえば、トヨタ自動車の株価は2020年に入り2月中旬頃までは7,000円台後半での取引が続いていましたが、3月13日には一時5,771円の安値を付け、直近は6,500円台〜6,700円台で推移しています(4月9日時点)。

今すぐ購入してもしばらくは大きな上昇がなかったり、さらに安値を割り込み含み損になったりすることも考えられます。しかし、企業は基本的には前向きかつ株価を押し上げようと努力するので、数年単位の長期目線で見るとリターンを得られる可能性も少なくないでしょう。

倒産や業績悪化などを考えると個別株への投資は不安だという場合は、指数連動のETFや投資信託などへの投資もありますので、投資知識やリスク許容の範囲で自分に合う投資方法を見つけるといいでしょう。さらに、先行きが不透明な情勢では収入減の可能性もあります。そのため、あくまで余裕資金の範囲で行うことが重要です。