「今1000円をもらう」か「1年後に1100円をもらう」という選択肢があったとしたら、みなさんはどちらを選びますか?

この質問に対して合理的でより良いとされている回答は、後者の「1年後に1100円をもらう」という選択肢です。しかし、みなさんの中には「今1000円をもらう」という選択をした人もいるのではないでしょうか。

冷静に考えると「1年後に1100円もらう」というのは1000円が1年間で10%増えているので、預金や一般的な投資よりもお得な話なのですが、「1年後にいくら得するか」よりも「今1000円が欲しい」という感情のほうが上回ることが少なくないのです。

このように、心理学や行動経済学では「将来よりも今を重視してしまう人間の性質」を明らかにしており、この性質を「現在バイアス」といいます。この現在バイアスは、「貯金をする」という目標を達成する上ではとても重要な知識ですので、「貯金ができる人」と「できない人」の違いを意識しながら解説していきましょう。

人は「1年後の幸せ」よりも「今の幸せ」を好む本能がある

まず結論として、人は「1年後の幸せ」よりも「今の幸せ」を好む本能があるため、「今の幸せ」ばかりを基準にお金を使っている人は、いくら貯金をしたいという気持ちを持っていたとしても目標を達成するのは困難です。

東京国際大学の盛本晶子氏の論文「時間選好率および現在バイアス性がオンラインゲーム内コンテンツへの課金行動に与える影響」では、(1)現在バイアスが強い人、(2)「自分は現在バイアスがある」ということを意識できない度合いが強い人ほど、ゲームに課金してしまう傾向を明らかにしています。