ある経験が自分を成長させてくれるかどうか。それは自分自身で決めることであって、他人から「これはあなたを成長させてくれるものだから」なんて決めつけられることではないはず。

ましてや「育児がしんどい」と感じているママに向かって、戒めのように言う言葉ではない…。

必死で子育てを頑張っているママに対して「育児は育自だからね」と声をかける行為。そこには「あなたは今、人間として成長するために必要な経験をしているのだから、ありがたく受け入れなさい。もっともっと頑張りなさい」という、ある種の傲慢ささえ感じられます。

つまり、「育児は育自」とは、改めて自分自身が子育てを振り返ったときにしみじみと感じることであって、子育て真っ最中の一番しんどいときに、ましてや他人からかけられるような言葉ではないのです。

「育児は育自」は励ましの言葉ではない

言葉遊びのようなリズムの良い語感、さも含蓄のありそうな文字面ゆえに、子育てママへの励ましの言葉として使われることが多い「育児は育自」。

しかし、その言葉が「そうか、子育てとは頑張らなければいけないものなんだ」とママをますます追い詰めることもあります。

「赤ちゃんがなかなか眠ってくれない」「心に余裕がなくてつい家族にイライラしてしまう」という悩みを打ち明けられたときに、「育児は育自だよ、頑張れ」という返答をもらって、「あ、そうだったのか! じゃあ眠れなくても、しんどくても頑張らなきゃ!」と思うママが世の中にいったいどれくらいいるのでしょう。