今でも、「子育てを楽しめる人と楽しめない人の違いは?」などという記事を目にすることがたまにあります。そういった記事には、たいてい「子育てを楽しもうとする姿勢が大切」「余裕をもって子育てをすれば楽しめるはず」と書かれています。

果たして本当にそうなのでしょうか? 誰だって、子育てを楽しめるのなら思いっきり楽しみたいはず。でも、あれもしなきゃ、これもしなきゃ…に追われると、どうしても楽しむ余裕なんてなくなってしまいます。

「楽しみたいのに楽しめない」「余裕をもちたいのに余裕をもてない」と思っているママに、「楽しもうとしなさい」「余裕をもちなさい」なんて言っても、何の解決にもなりません。それどころか、ますますママたちを追い詰めるだけではないでしょうか。

だから筆者は、今を一生懸命頑張っているママたちに「子育てを楽しんで」「今だけしかない時間を楽しんで」なんて言葉に惑わされないでほしいのです。

嬉しい瞬間があれば、それでいい

楽しめないことに罪悪感をもつ必要はありません。「子育てを楽しめない」ということは、子どもの命の重さを感じ、この子を必ず守り抜かなければならない、という責任感のあらわれ、それも立派な母親の愛です。

今思い返しても、筆者は我が子が乳幼児のころ、「あぁ、子育てが楽しいなぁ」と思ったことはほとんどありません。子育てをしていて楽しい瞬間はあまりありませんでしたが、その代わりに筆者は子育てをしていて「嬉しい」瞬間はたくさんありました。

初めて笑ってくれた ──嬉しい。

初めて朝まで眠ってくれた ──嬉しい。

初めて喋った ──嬉しい…。