この気温上昇が具体的にどのような影響を与えるか、世界の平均気温の上昇幅に応じて見ていきましょう。+1.0℃未満では暑熱や洪水など異常気象による被害の増加が懸念されます。これはもう現実に起こっていることです。

+1.0℃以上では、サンゴ礁や北極の海氷などのシステムに高いリスク、またマラリアなど熱帯の感染症の拡大。+2.0℃以上になると、作物の生産高が地域的に減少、また利用可能な水の減少が心配されます。

+3.0℃以上では、広範囲にわたって生物の多様性に損失が生じ、また大規模に氷床が消失して海面水位の上昇が懸念されます。そして、+4.0℃以上になると、多様な種の絶滅リスクが高まり、世界の食糧生産が危険に晒されるおそれがあります。

気候変動、温暖化を食い止めるために

この気候変動、地球温暖化を食い止めるためには、気温上昇の主たる要因の一つである人間の活動による温室効果ガスの排出削減の対策を講じることが必要不可欠です。具体的には、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの普及拡大などが挙げられます。

ここで冒頭でも取り上げた2015年12月に国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)で採択されたパリ協定が話に上ります。パリ協定とは、2020年1月に本格実施された、1997年12月に採択された京都議定書に代わる温暖化対策の枠組みのことです。

このパリ協定では、世界共通の長期目標として「世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2.0℃未満に抑え、1.5℃未満を目指す。そのために、可能な限り早期に世界の温室効果ガス排出量を頭打ちにし、21世紀後半には温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる」ことが掲げられています。

パリ協定の最大の特徴の一つとして挙げられるのが、「加盟国すべてが自国の温室効果ガス削減目標の作成、提出および維持する義務、当該削減目標を達成するための国内対策をとる義務を負っている」ことです。ちなみに、日本は「2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量を26.0%(2005年比では25.4%、1990年比では18.0%)削減する」としています。