第一次世界大戦を舞台とし、2人のイギリス兵士を主人公としたまさにアカデミー賞の候補作として王道とも言える作品です。アカデミー賞の前哨戦として注目されるプロデューサー組合賞を受賞したこともあり、例年であればおそらくこの映画が受賞したのではないかと言われていました。

その下馬評を覆し、今年は韓国映画の『パラサイト』が作品賞を受賞したのです。アカデミー賞の作品部門が外国語映画に与えられるのは史上初のこと。加えて、韓国映画がノミネートされること自体初めてのことだったため、1929年から始まった約90年のアカデミー賞の歴史がまさに塗り替えられたのです。

歴史を変える受賞の裏には、『パラサイト』の作品としての高評価がありました。貧しい生活を送る主人公一家が、裕福な家庭に寄生していく様子を描いた作品は、”半地下”という韓国ならではの経済格差や家の構造を題材とし、コメディやサスペンスなど多様な要素を織り交ぜながら展開していきます。

この作品独自のストーリーが口コミで全米に広がり、アメリカでは英語以外の作品として史上8位の興行収入を記録しています。様々な映画賞も受賞しており、国境や言語を超えて作品の面白さが評価されたため、今回の快挙に至ったのではないでしょうか。さらにこの快挙の裏には、近年のアカデミー賞に関する背景も大きく影響しているのでは、と言われています。