発達障害があっても東大理Ⅲに現役合格できる!
私は1960年生まれですが、あと40年なり50年遅く生まれていたら、おそらくは発達障害の診断を受けていたのではないかと思います。
小学生のときは落ち着きがなく、授業中の立ち歩きの常習犯でした。まさにADHD(注意欠陥多動性障害)的な傾向だったと思います。そのことで厳しく叱られましたが、私の母親は「この子は頭がいいから、この学校がつまらないのだろう」と考え、より教育レベルが高いとされている地域の学校に私を転校させました。
母は私にこう言いました。「あんたは変わりもんやから、会社勤めはできんやろ。医者であれ、弁護士であれ、なんか資格を取らへんと、食べていかれへんよ」と。
そう言われてから、変わり者に生まれた以上、変わっていても食べていくためには、勉強をしっかりやるしかないと思い、勉強に励んだのです。このことが、今に繋がる原動力になったと思います。結果的に勉強に没頭することができ、灘中学校に入ることができました。
これには、ASD(自閉スペクトラム症)的な傾向の、「過集中」という部分がプラスに働いたのだと思います。ADHDとASDは相反するイメージが強いのですが、実際には重複していたりしているので、理解がされにくいところでもあります。私はまさに発達障害の特徴が重複していたのでしょう。
ただ、それで以後も順調だったわけではありません。中学校入学後、実は勉強がうまくいかず、落ちこぼれてしまった時期がありました。しかし、そこで自分が天才ではないことに気付き、勉強法の工夫で学業不振を乗り切ったのです。
そして東京大学理科Ⅲ類(医学部進学コース)に合格することができました。発達障害があると、苦手科目もあって受験で不利だから、教科数の多い東大受験は不利だと思っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、私は逆だと思います。科目数が多いからこそ、苦手な科目があっても得意科目で逆転できるのです。現に、私は心情読解が苦手で模試などでも国語は壊滅的な成績でしたが、得意な数学と理科で乗り切ることができたのです。