現に筆者の知り合いでも「みんなの輪に入れないといじめにつながるから、子どもたちの間で話題になっているYouTubeを見せたり、みんなが持っているゲームは買い与えたりしている」という人がいて、「そこまでしなければならないのか」と驚いたことがあります。

その点、子どもたちが多様性を尊重することができれば、そのようないじめや差別はなくなり、みんな安心して暮らすことができるでしょう。

それって本当に「多様性」なの?

しかし、中には「多様性を受け入れよう」という考えを自分の都合のいいように解釈して、子育ての中で実践している人がいるようです。

小学校5年生の男の子の母、Aさんがこんなエピソードを話してくれました。

──息子の同級生に、結構自由な子育てをしているお家があって…。その子はうちの息子のことが大好きらしく、休日には朝の8時から我が家に遊びに来て、夜はいくら促しても「うちは大丈夫だから」と遅くまで帰ろうとしない。いい加減腹が立ってその子のお家に「うちは門限が5時なんです。なので5時には息子さんも帰っていただきます」と伝えたら「うちには門限がないんです。でも息子はお宅のお子さんと遊びたがっているから、もう少し遅くまで遊ばせてあげてほしい」という返答!

「いえ、5時の門限を守ってもらいたいので、息子さんにも5時には帰ってもらいたい。朝も我が家のリズムがあるので、せめて遊びに来るのは10時以降にしてほしい。それが守れないのなら遊ばせることはできません」と強く伝えたら、そんな難しく考えなくても…いろいろな家族のルールがあるのだから、多様性を受け入れるべき、みたいなことを言われて…。思わず「多様性」という言葉の意味を調べましたよ──