親が我が子に対する願いのひとつ、それが「多様性を認められる寛容な心を持ってほしい」というもの。いろいろな人たちの価値観や生き様を受け入れることができ、同時に本人も受け入れてもらって、豊かな人生を歩んでほしい。

「みんなちがって、みんないい」の精神で生きることができたなら、それは素晴らしいこと。それは確かにそうなのですが…。

多様性っていったい何?

まずは「多様性」というの言葉の意味を今一度確認してみましょう。手元にある『大辞泉』には、多様性とは「色々な種類や傾向のものがあること。変化に富むこと」とあります。

働き方の多様性、価値観の多様性、多様性が求められる社会…さまざまな場面で目にする「多様性」という言葉。はっきりとした意味はわからなくても、「違う価値観を持つ相手のことも尊重できるようになってほしい」という意味で「多様性を受け入れられる子どもになってほしい」と考えている方は多いのではないでしょうか。

「さまざまな価値観を認められる」ということは、自分の価値観も認めることができるということ。つまり、自分の存在も他人の存在も肯定できる、他者への偏見や差別がない寛容な心を持つことです。

アンデルセン童話の「みにくいアヒルの子」のように、子どもたちのいじめも「みんなとちょっと違う…」をきっかけに始まることが多い、と聞きます。

「あの子だけカバンの形が違う」

「あの子だけ先生にたくさん褒められている」

「あの子だけちょっと話し方が違う」…

大人から見ると取るに足らないことでも、当の子どもたちにとっては大問題なのでしょう。