しかし、その後は少子化による受験者数の減少が顕著となり、私立大学の重要な収入源の1つである“入試受験料”が大きく減っています。そのため、“本当は授業料をもっと値上げしたいけど、あまり値上げできない”という私立大学の苦悩を見て取ることができます。
国立大学の授業料据え置きが、私立大学の経営を圧迫している一因となっており、私立大学は国立大学の授業料値上げを待ち望んでいると見るのは、うがった見方でしょうか?
授業料の値上げ実施は私立大学の淘汰を一気に進める可能性も
実際、財務省と文科省の判断一つで、国立大学の授業料が再び値上げになる可能性は十分あるでしょう。しかし、その時に、私立大学が大幅な授業料値上げに踏み切れば、最終的には家計への負担増に結びつくのは明白です。その場合、大学進学者の減少が加速し、既に顕著になりつつある私立大学の淘汰が一気に進む可能性は高いと言えそうです。
私立大学にとっては、授業料を上げるのも地獄、下げる(上げられない)も地獄なのかもしれません。
【参考】「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」「国公私立大学の授業料等の推移」(文部科学省)
葛西 裕一