もちろん世の中には、映画のレイトショーなんてとんでもない!という奥さんもたくさんいるでしょう。それはじゅうぶん承知の上です。でも、レイトショーに限ったことではありません。特に子どもがまだ小さいと、「お醤油切らしたからちょっと買いに行ってくる」という、「ちょっと」の時間すら持てないのです。

ある程度子どもが大きくなったとしても、自分自身に植え付けられた「子どもが独立するまでは、母親は子どものことを第一に考えるべき」という考えが、ほんの数時間レイトショーを観に行くのにも罪悪感とうしろめたさを抱かせ、その罪悪感を少しでも軽減するために、家のことを完璧にしなければいけない…という気持ちが湧いてくるのです。

まとめ

多くの母親は、自分一人で出かけるときに、夫もしくは子どもに「ごめんね」と告げる…と聞いたことがあります。

「ごめんね、すぐ帰るから」「ごめんね、ちょっと待っててね」

このことを友人と冗談交じりで「ごめんねの呪縛」と話したのですが、あながち言葉遊びではないのかもしれません。

もちろん家族の時間は大切ですし、何物にも代えがたいものです。でも、それは決して「自由時間」の代わりにはなり得ないのだ、ということをもう少し広く知ってもらいたい、そんな風に思ってしまったのでした。

大中 千景