ただ、地場資本の地方百貨店が、同じように閉店セールさえ行えずに、ある日突然に破綻することは決して珍しくないのです。
最近では、2017年2月27日に、仙台市の「さくら野百貨店 仙台店」が突然の閉鎖(破産手続き開始)となりました。厳しい経営が続いていたこと、閉店セールを告知することもできなかったこと、従業員に突然の解雇通告がなされたこと等、今回の大沼と非常に似通っています。
この背景として、取引金融機関による融資審査の厳格化が挙げられますが、逆に言うと、地場資本の脆弱さを如実に表しています。
“リストラ屋”の投資ファンドが経営介入してもダメ?
もう1つの注目点は、大沼が投資ファンドの傘下に入ったということです。
経営難に陥った小売り業(百貨店、スーパー、専門店など)が投資ファンドの傘下に入って、ファンド主導によるリストラ(人員削減、店舗縮小など)を行うのはよくあるケースです。そして、全てとは言いませんが、多くの場合、一時的な業績回復等、それ相応の結果を出してきました。
今回の大沼の場合、投資ファンドの傘下に入った後で何らかのトラブルが発生し、再び経営権が創業側に戻っています。現時点では、どのような経緯があったのか不明ですが、“リストラ屋”と称される投資ファンドが経営参加しても効果が見込めないくらい、収益環境が悪化していた可能性があります。
また、その後に市政が買い支え運動で介入しても、市民からの反応が芳しくなかった点も注目すべきでしょう。多くの消費者にとって、買い物をするのに百貨店はもう選択肢にならないということでしょうか。